情報に溺れる人々

 最近、自宅の近くにある中華料理屋さんに行列ができています。もともと、狭いスペースの店舗であり、出前専門の中華料理屋さんでした。配達専門ですから、出前専門担当の子がバイクを常にぶっ飛ばして、配達に命を懸けていたのです。ところが、最近、店内でも飲食できるように改装されました。すると、なんと、住宅街のど真ん中の店舗で行列ができているのです。えっ?そんなにおいしい店でしたっけ?いえいえ、なんと、その行列は、カレーを求めて行列ができているのです。なんで?中華料理でカレー?カレーラーメン?カレーチャーハン?ほんまにハテな、の連続なのです。でも、答えは明瞭。実はこの店、2回ほど同じテレビ局に取材をされて一躍有名になったのです。それも専門の中華ではなく、カレーライスなのです!テレビの力はすごいですねー!どこから集まってくるのか判らないけど、近所で見かけない人たちの行列が何十人と続いているのです。ですから、最近はごま油の香りではなく、カレースパイスの匂いが店から漂ってくるのです。テレビの訴求力には凄まじいものがあるということです。たった数分の紹介で連日、行列が絶えない店舗に変身できるのです。さて、いつまで続くのでしょうか。私のよく行くお店も過去にテレビの取材を受け、数か月間、店がごった返したことがありました。その時は、店の住所や電話番号などは紹介されなかったのですが、今の時代、おおよその場所と店名が判ればあっけなく場所は特定されるのです。そして、ネットで検索すると、なんと、あっという間に住所、電話番号が判明します。そして、恐怖の予約電話の嵐になっていくのです。この店も数か月間、予約の電話が鳴りやまず、夫婦で切り盛りしているにも関わらず、店は人で溢れかえりました。ところが、約半年でこの騒動は収束していきました。何故か。それは、ほとんどの人が「一見さん」だったからです。いや、「一回だけさん」だったのです。マスメディアの情報によって、本来知らない店に一見さんが大挙して来てしまうのです。そして、1回だけ来て、料理の写真を撮って、グルメリポーターの如く、インスタやフェイスブックに載せればもう用は無し。次の新たな物珍しい店をハイエナの如く狙いを定めて、ハンティングしていくのです。果たして、こんな傾向が良いのでしょうか。一回だけさんが大挙してくると、今まで常連だった人たちは、その行き場を失ってしまいます。もちろん、一見さんが常連さんになって、続けて来てくれることもあるのですが、だいたい「行きつけ」とは気心知れて、ゆっくりと寛げるところを言うのではないでしょうか。いや、行きつけと呼べるところはそうであってほしいのです。行きつけがファミリーレストランであっても良いのですが、用途が違う気がするのです。例えば、マスコミを通じて訪問した料理屋さんが老夫婦でやっていた場合、料理作りも配膳も限界があると思います。そんなところに取材を求めても、きっとお断りされると思うのです。要するに、大挙して来店されてもそれに応じられるところしか無理なわけです。そう考えると、テレビ局などもそのあたりの空気は読んでいるのでしょうか。そうですよね、突撃で取材しても何か不都合があると大変ですよね。なるほど。そういうことかもしれません。ちなみに、私の知り合いの店は、事前に取材依頼があったとのことです。でも、もう懲りたから取材は受けないと申しておりました。昔から、あのおばあちゃんのところのたこ焼きが美味しい、駅前商店街の天ぷらうどんが最高、一杯呑むならあそこの焼き鳥以外は無い、などの経緯を経て、常連になっていったものです。そう、行きつけは自分の足で見つけましょう。マスコミの陰謀にはくれぐれもご注意を!溢れすぎる情報で決して溺れないようにご注意を!